慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という言葉をご存知でしょうか?CKDとは、何らかの腎障害が少なくとも3ヶ月以上続けて認められることで診断される病気です。
糖尿病や高血圧、糸球体腎炎や遺伝など様々な原因でCKDが起こります。
このCKDという病気が新たな国民病として、主に3つの理由で注目されています。
1つめの理由は、ありふれた病気であることです。
最近の研究によると、日本人では約2000万人、すなわち成人の5人に1人がCKDであると推計されています。
腎臓の働きは加齢とともに少しずつ低下していくため、今後高齢化が進むにつれてさらなる増加が見込まれています。
2つ目の理由は、CKDが危険な病気であることです。CKDは進行すると腎不全に至り、透析や腎移植が必要になります。
また軽度のCKDでも、心筋梗塞や脳卒中などの心臓や血管の病気、そして死亡のリスクが高いことが知られています。
3つ目の理由は、治療可能な病気であることです。
食事や運動などの生活習慣を少し変えることで腎臓を守ることが可能です。
また適切なお薬を内服することも腎臓を守るのに役立ちます。
健康診断で尿検査の異常(蛋白尿・血尿)や腎機能の低下(eGFR<60)を指摘され、受診するように指導された場合はきちんと診療所(医院)や病院を受診してください。
軽度のCKDでは自覚症状に乏しいため、どうしても受診を先延ばしにしてしまいがちです。
気がついたら腎臓病が進行し重症となっていたというのだけは避けなければなりません。
医師や看護士などの医療スタッフに加え、患者さんやその家族との共同作業で腎臓を守っていくことが重要となります。