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末期腎不全における腎代替療法

末期腎不全とは

腎不全イメージ腎不全とは、腎臓の機能が著しく低下し、体内の環境を正常に保つことが困難になった状態です。急激に発症する急性腎障害では、治療によって腎機能が回復するケースも多く見られますが、末期腎不全に至ると、腎臓の機能はほとんど戻る見込みがなくなります。
腎機能が失われることで、老廃物の排泄や体内の水分・電解質(塩分など)の調整ができなくなり、生命維持のためには腎代替療法(血液透析・腹膜透析・腎移植)が不可欠となります。
末期腎不全は、長期にわたる慢性腎疾患の進行によって起こることもあれば、急性腎障害から回復せずにそのまま移行する場合もあります。

腎代替療法

腎臓は、体内の老廃物や余分な水分・塩分を尿として排出するほか、赤血球の生成に関与するホルモンを分泌するなど、生命維持に欠かせない役割を果たしています。
一方で、腎機能が著しく低下して末期腎不全に至った場合には、自力でこうした働きを維持できなくなり、腎代替療法が必要になります。
腎代替療法とは、腎臓の機能を人工的に代替するための治療法で、「血液透析」「腹膜透析」「腎移植」に分けられます。
それぞれの治療には、実施方法や生活への影響、通院頻度などに違いがあります。当院では、患者さまのライフスタイルに配慮し、在宅で行う腹膜透析にも対応できる体制を整えております。

腹膜透析

腹膜透析腹膜透析は、腹腔内に透析液を注入し、一定時間体内に留めた後に排出することで、血液中の老廃物や余分な水分を除去する治療です。
この方法は自宅や旅行先でも患者さま自身の手で行えるため、血液透析に比べて日常生活の自由度が高いのが特徴です。

  • 手術内容:腹腔内にカテーテルを挿入(中規模の手術)
  • 通院回数:月1〜2回程度
  • 生活の制限:血液透析よりも自由度が高い
  • 食事・水分制限:やや厳しめ(塩分・水分・リンの制限など)

近年、超高齢化に伴い、血液透析施設への通院が難しい方も増えています。そのような背景から、高齢の腎不全患者さまに対する腎代替療法として、在宅で行える腹膜透析が注目されています。当院では、いわゆる「おうち透析」として、訪問診療により腹膜透析患者さんをサポートできる体制を整えております。通院が難しい方やご家族の方は、ぜひ一度ご相談ください。

血液透析

血液透析血液透析は、血液を体外に取り出し、透析装置を通して浄化した後、再び体内に戻す治療法です。
治療には、動脈と静脈を繋ぐ「シャント」と呼ばれる血管を手術で作成する必要があります。基本的には医療機関に通って定期的に透析を受ける必要があります。

腎移植

腎移植は、他人から腎臓の提供を受けて移植する治療法で、腎臓機能そのものを回復させる唯一の根本治療とされています。
透析治療とは異なり、臓器移植によって腎機能を長期的に補うことが可能です。

腎代替療法におけるSDMの重要性

SDM(Shared Decision Making:共同意思決定)とは、患者さまと医療者が一緒に情報を共有しながら、最適な治療方針を話し合って決定するプロセスを指します。
単に医療側の判断を押し付けるのではなく、また患者さまに全てを委ねるのでもなく、双方の対話を通じて理解を深め、価値観に基づいた納得のいく選択を行うことが目的です。
この際、医学的な根拠だけでなく、「何を大切にしたいか」「どのような生活を送りたいか」といった患者さま自身の価値観や希望も重要な判断材料となります。
特に慢性腎臓病が進行し、末期腎不全に至った場面では、血液透析・腹膜透析・腎移植・保存的腎臓療法といった治療法の中から、どれを選択すべきか悩まれることが少なくありません。こうした複雑な選択においてこそ、SDMの考え方が欠かせません。

  • 保存的腎臓療法(Conservative Kidney Management; CKM)

超高齢社会を迎えた現在、世界的にも、そして日本においても、透析を導入しない「保存的腎臓療法(CKM)」という考え方が広がっています。超高齢の腎不全患者さまでは、透析を行っても行わなくてもその後の経過に大きな差がみられないという報告もあり、本人の価値観や認知機能、身体の状態、ご家族の意向などを踏まえて、CKMを選択するケースも少しずつ増えてきています。当院では、腎代替療法専門指導士として、すべての治療選択肢について丁寧にご説明し、患者さま・ご家族とともに最適な方針を考えていきます。末期腎不全の今後についてお悩みの方やご家族の方は、どうぞお気軽にご相談ください。