脂質異常症は、多くの場合、健康診断や他の病気の検査で初めて指摘されることが多い病気です。
2019年の国民健康・栄養調査では、
この数値は年々増加傾向にあります。
コレステロールや中性脂肪が高くなると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まる ことが、国内外の研究で明らかになっています。
また、以下のようなリスク因子が重なると、より危険性が増します。
特に、すでに 心筋梗塞や脳梗塞を経験された方 は、より厳密なコレステロール管理が必要です。
若くて特に持病がない場合、コレステロールを下げることによる健康効果は限定的とも言われています。
そのため、
これらを総合的に評価し、本当に治療が必要かどうか を慎重に判断することが重要です。
過剰な治療を避けつつ、健康を守るためには、まずは生活習慣を見直しましょう。
健康診断でコレステロールが高いと言われた方、脂質異常症が気になる方は、お気軽にご相談ください。
一緒に健康を守る方法を考えていきましょう。
肥満症とは、単に体重が多いだけではなく、肥満が原因で健康に悪影響を及ぼしている状態、または将来的に健康リスクが高まる状態を指します。
肥満を理解するうえで重要な指標が「体格指数(BMI:Body Mass Index)」です。
BMIは以下の計算式で求められます。
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)²
日本ではBMIが25以上を「肥満」と定義しています。
2019年の国民健康・栄養調査によると、
また、肥満の 90%以上 は、特定の病気や遺伝的要因ではなく、生活習慣など複数の要因が絡む「原発性肥満」とされています。
肥満はさまざまな病気の原因となります。
これらの病気は 生活の質(QOL)を低下 させ、寿命を縮めるリスクが高まります。
肥満症の治療では、健康状態を把握するための検査を行うだけでなく、心理的要因や社会的背景 も考慮しながら、医師と患者が協力して治療を進めることが大切です。
「メタボリックシンドローム」は、内臓脂肪の蓄積に加えて、高血圧・高血糖・脂質異常などが合わさった状態を指します。肥満と重なる部分も多いですが、必ずしも肥満である必要はありません。
健康的な生活を送るために、肥満のリスクを知り、適切な対策をとることが大切です。
骨粗鬆症とは、骨をつくる力と壊す力のバランスが崩れ、骨量が減って骨の強さ(骨強度)が低下する病気です。
骨がもろくなることで、軽い転倒やちょっとした動作でも骨折(脆弱性骨折)を起こしやすくなります。
骨折は生活の質(QOL)を下げ、寝たきりや生命予後にも関わる重大な問題です。
日本では、骨粗鬆症の患者さんは約1,200万人と推計され、その8割が女性です。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が骨の代謝に影響し、特に閉経後に発症リスクが高まるためです。
また、超高齢社会の中で、男性を含む高齢者の骨粗鬆症も増加しています。
骨粗鬆症は、加齢とともにその頻度が高まります。
特に以下のような方は注意が必要です。
70歳以上の女性では約4割に背骨の変形(椎体変形)があるとも言われており、定期的なチェックが大切です。
骨粗鬆症は、骨密度の低下や脆弱性骨折の有無により診断されます。当院では、DXA(デキサ)法というX線検査で骨密度を測定できます。骨密度は「YAM(若年成人平均値)」と比較して評価します。
以下の場合、骨粗鬆症と診断されます。
骨粗鬆症治療の基本は、「栄養」「運動」「薬物療法」の3本柱です。
骨の健康にはカルシウムとビタミンDが欠かせません。
その前提として、十分なエネルギーとタンパク質摂取により、サルコペニア(筋肉量の低下)やフレイルを予防することも重要です。ただし、腎機能に問題がある方は注意が必要ですので、腎臓専門医の診療をお勧めします。
転倒予防のための体づくりが重要です。
日本整形外科学会が推進する「ロコモティブシンドローム(運動器不安定症)」対策としての【ロコトレ】(公式パンフレット)は、自宅でも取り組みやすく、効果的です。
骨粗鬆症治療薬は日々進化しており、カルシウム製剤やビタミン剤も含めると、多くの選択肢があります。
患者さんの年齢・生活状況・骨折歴・腎機能などを考慮し、一人ひとりに合った治療法を選択することが大切です。
骨と腎臓の関係は密接であり、腎臓専門医としての知見を活かした骨粗鬆症治療を提供しています。
気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
睡眠中に「呼吸が止まる」または「弱くなる」ことで、睡眠の質が低下し、日中の眠気や集中力の低下など、日常生活に影響が出てしまう病気です。
睡眠1時間あたり、呼吸が10秒以上止まる“無呼吸”と、呼吸が弱くなる“低呼吸”の合計回数を指します。
oAHI ≧ 15:症状の有無に関わらず診断
oAHI ≧ 5:日中の眠気・いびき・高血圧・糖尿病などがある場合にも診断対象
主に50歳以上の男性に多く、女性でも10%、男性では10~20%程度の方が該当。思ったより身近な病気です。
ご自身で気づく症状:
周囲の方が気づくサイン:
特にご家族の指摘で気づくことが多いため、思い当たる場合はお気軽にご相談ください。
また、高血圧がなかなか改善しない場合、その背景に睡眠時無呼吸が隠れていることもあります。
治療することで次のようなメリットが期待されます:
重症度が高いほど、健康リスクも高くなります。たとえば、**重症(AHI30以上)**の場合、死亡率が約2倍になるとの報告もあります。
まずはご自宅でできる簡易検査(OCST)を行います。
結果が
治療は、**CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)**という機械を使い、睡眠中の無呼吸を防ぎます。当院では、呼吸の状態に応じて自動で空気圧を調整する「オートCPAP」を導入しています。
また、体重管理や飲酒・睡眠薬の調整も治療の一環となります。
当院ではPHILIPS社製の検査・治療機器を使用し、簡易検査からCPAP治療まで対応しています。また、専門的な精密検査(PSG)が必要な場合にも対応いたします。
「いびきが気になる」「日中の眠気がつらい」「高血圧がなかなか改善しない」といった方は、一度お気軽にご相談ください。
以前は「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」と呼ばれていた病気で、主にアルコールを飲まない方にみられる脂肪肝の一種です。肥満や糖尿病、あるいはその予備軍といえるメタボリックシンドロームなど、代謝の異常を背景に発症します。
ただし「アルコールを飲んでいないこと」が診断の前提だったため、現場での判断が難しいケースもありました。そこで新たに提唱されたのがMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)という概念です。
簡単にいうと、「肝臓に脂肪がたまり、かつ代謝の異常がある状態」です。
この脂肪蓄積が長引くと肝臓に炎症が起き、さらに進むと「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」となり、肝硬変・肝不全・肝がんなどの重い病気の原因になります。
MASLDの有病率は世界全体で約25%。日本でも欧米と同様に高く、体格に関係なく見られます。
以下のような方では、血液検査などで肝機能の軽度異常(ASTやALTの上昇)が見られた場合、MASLDの可能性を考える必要があります。
また、進行したMASH(隠れ肝炎)を疑うポイントとして、次のような所見があります:
MASLDの進行度、特に「肝線維化」の程度が将来の予後に大きく関係します。
実はMASLDの患者さんが亡くなる原因で最も多いのは、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患です。次いで多いのが、大腸がんや乳がんなどの他のがん。もちろん肝硬変や肝がんにもつながります。
そのため、消化器内科や循環器内科とも連携し、早い段階でMASHの可能性を見極めることが重要です。
MASLDが疑われるときには、以下のような検査を行います:
MASLDの基本治療は、「生活習慣の見直し」です。
ポイントは次の3つです。
糖尿病を伴う場合、高インスリン血症を起こしにくい治療が重要です。
近年は以下のような薬で肝臓を守る効果も報告されています:
それぞれに合った治療がありますので、ぜひ医師にご相談ください。
健診で「肝臓の値が高い」と言われた方、エコーで「脂肪肝」を指摘された方、あるいは健康診断の数値に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
早期発見・早期対応が、将来の重い病気を防ぎます。
血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を「高尿酸血症」といいます。この状態が続くと、尿酸が体の中で結晶化しやすくなります。関節に結晶がたまって炎症を起こすのが「痛風」、尿路にたまると「尿路結石」を引き起こします。
高尿酸血症は、男性の約5人に1人、女性でも20人に1人にみられると言われています。痛風は特に30歳以降の男性に多く、日本全国で患者数が100万人を超えるとも言われています。生活習慣の変化により、年々増加傾向です。
高尿酸血症の診断には、血液検査で尿酸値を測定します(基準値:7.0mg/dL以下)。さらに次のような項目も確認します:
高尿酸血症の背景には、高血圧・糖尿病・肥満・心筋梗塞・脳卒中などが隠れている場合があり、慎重な経過観察が必要です。
◉ すぐに治療が必要とは限りません
痛風発作がない場合は、すぐに薬を使わず生活改善だけで様子を見ることもあります。
◉ 治療のポイントは「生活習慣の見直し」と「薬」
尿酸を減らす薬には2種類あります:
※ 腎臓の状態によって使える薬が異なるため、心配な方は専門医にご相談ください。
! 注意点
尿酸値を急に下げすぎると痛風発作を誘発することがあります。そのため、発作中はまず痛み止め(NSAIDsやコルヒチン)で症状を落ち着かせ、発作後2週間ほどしてから尿酸値を下げる薬を開始します。
すでに治療中の方は、発作が起きても薬をやめないことが重要です。
当院では、腎臓専門医が高尿酸血症・痛風に対して、腎機能の評価を重視した診療を行っています。腎臓への負担を抑え、将来の腎不全を予防するためにも、適切な介入が重要です。
「尿酸が高いと言われた」「関節が腫れて痛む」「家族が痛風で心配」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。